工匠からのお便り
blog
blog

松戸市、市川市、宮大工が手掛ける注文住宅・古民家再生の工匠です。
皆様こんにちは。
大工さん達が現場へ出払ってしまうと社内工場は、電気が消え機械音もなくなり、静まり返ります。
活気ごと現場へ運ばれてしまったようで寂しくなります。
なので、大きな木材が大量に運び込まれていると、『おお!これはまた、たくさんの加工が始まるに違いない!!』と少しわくわく致します。
納品日程に合わせるように、工場に大工達が戻ってきました。工場の空気が一気に動き始めて、一日中機械の音が響き渡り、たちまち活気が戻ります。工場に入れば削られた木の香り。機械音の中に滑る鉋の静かな音も混じっているのが分かります。
さて、どんな加工が始まったかと申しますと神社の新築に向けての加工です。そんな中、作業が進んでいたのは、一般の住宅でほぼ見ることのない「鰹木(かつおぎ)」という部材です。
神社の高く大きな屋根のてっぺんにあっても十分な大きさと解る装飾。それが数本、ドカッドカッと並んで乗っている様子が思い浮かぶでしょうか。写真で見ると、ああそういえばこんな感じだったなと思い出してもらえるかもしれません。

まずは8角形の木材が運ばれてまいります。これを少しづつ丸くしていきながら、両端を滑らかに細くしていきます。この形が鰹節のようだから「鰹木」というそうです。(諸説あり)。

大きな大きな神社の屋根の上に乗っていても存在感のある鰹木ですが間近にみると、「こんなに大きな木材がいくつもいくつも屋根に乗るのですか?」と改めてびっくりする大きさです。そして、それなりの重量があると解ります。まだまだ大きな鰹木もあるそうで、「今回は、小さいほうだから、まだ手でも返せるから」などと大工さん達は話しておりました。社寺建築で使う木材はどれも大きいですから、宮大工たちが「小さいほう」というのは、基本的にはどれも大きい印象です。

鰹木は古来の建築で用いられていたものですが、本来の役割は葺いた屋根材を守る補強材でした。建築が確立された今となっては、格式を示すためや神社のシンボル的な装飾に変化しております。
土俵の上の吊り下げ式の屋根(屋形)にも鰹木が乗せられています。屋形は伊勢神宮と同じ「神明造り」となっています。相撲観戦の機会があったら土俵上の屋根にもご注目を。
手の感覚を頼りに滑らかに鉋を掛ける作業は、繊細で体力仕事で、終わりや正解がないといった世界に感じます。途方もないけれどいつまでも見ていたいような不思議な作業です。


伝統あるものの加工を近くで見るというのは、大変興味深いものです。
積み上げられたたくさんの材料が次々を墨付けをされていく中を、カメラ片手に移動しています。まだまだ、たくさんの加工が続くのだろうなと、楽しい気持ちで今日も工場へお邪魔します。

千葉県松戸市に本社工場を構える工匠より、社寺建築の特殊な加工風景をこれからもお伝え出来たらと思います。
工場の「真剣さ」「集中」「和やかさ」「厳しさ」「緊張」「楽しさ」などの空気感も一緒に伝わると嬉しなと思います。